こんな名前だが都会生まれの都会育ち、更に大企業の御曹司なので田舎要素はゼロ。
中学生の頃、「本物の田舎」を見た時に「えっ!?こんなお店のないところでどうやって暮らしてるの!?」
と発言し、当時の知り合いに不快な顔をさせてしまった経験さえ持っている。
なお、テンションの高い父親は、息子の名前を名付ける時に、並び替えると「ドいなかもん」になる事に全く気付かなかった。
そんな愉快な父親だが、主税には心底恨まれており、原因としては、彼のレネゲイド発症に関わる。
過去、在籍校でFHエージェントのテロによるジャーム事件が発生。
その最中にシンドロームへと覚醒するが、兼ねてより出資関係でUGNやそれに纏わるレネゲイドの事情を
知っていた父親が「大事な跡取りをそんな事で喪う訳にはいかん」と、根回しを以て秘密裏に他生徒より手早く救助。
エフェクトを使い事態を打破しようとしていた主税を
「お前がやる事ではない。そんなものは荒事のプロ共に任せておけ」
と一蹴、抵抗する息子をほぼ監禁状態にして事件の収束を迎えさせた。
その間に、クラスメイトであった主税の想い人がジャームによって死亡。
主税は全てが終わった後にそれらの事実を知る事になる。
激怒した主税は、家柄や事情、周囲の心配など全てをかなぐり捨て家から出奔。
父への反発心と、阻止され果たせなかった事をせめて自らの力で果たそうと独自にUGNへの接触を
計ったが
「何処でも上手く行かなければ、家柄とその権力の下に居なければ人生は成功しない。
俺の庇護下にあってこそ俺の力を受け継ぎ、より良い人生を送れると分かり戻って来るだろう」
と踏んだ父の根回しにより
(※...表面上は「息子を死なせたくない」と言う人情的なものを表しての奉公参り。
無論、事実として主税への親としての情愛は傲慢であっても存在したし、跡取りの問題からしても
「息子を死なせたくない」と言う父の事情は嘘も吐かなければ、周囲を騙したものでもない。
ただし、父が各所方面へそれらの根回しを計る際、普段の居丈高とは違い、内心で舌を出しながら
「鬼の目にも涙」のような表情を作り、周囲の同情を買おうと計ったのも確かである)
主税の「仕官の道」は悉く失敗。
主税本人にとっては嫌な事ではあったが、家柄の教育のお陰で
父と無関係の小さな会社に就職し、自活する事は出来ていたので「野垂れ死に」となる事は無かったが
細々とした生活の中、自らの望みを果たせない無力感と劣等感に苛まされる日々が続いた。
失意の日々の中、再び転機が訪れたのは5年前、主税が22歳の時。
市内の住宅街で発生した、放浪する怪物型ジャームと遭遇。
明らかに正気の残らない異形の怪物が人々を襲おうとする中、主税は覚醒時期周辺に受けた
UGNからのエフェクト制御指導を元に、独学で身に着けた戦闘方法によりジャームとの戦闘に入る。
ワーディングにより周囲の民間人を退けた後、防御主体の戦法によって「素人にしてはマシ」な程度の戦いにて拮抗。
「所詮は独学」と、主税が弱かったのか、あるいはジャームが尋常の個体より強靭なものだったのかは
既に判別出来ないが、主税が徐々に追い込まれ、ジャームの凶刃に掛かろうとした時、謎の人物からの援護を受ける。
彼の液体爆薬と治癒の援護によりジャームは倒れ、主税は活力を取り戻し、一命を取り留める。
主税を救助した男は、意気消沈した主税からの
「UGNの部隊の人ですよね。すみません。勝手な戦闘を始めた罰を受ける用意は出来ています」
と、罪人のように頭を垂れた謝罪に対し、主税の想定したものとは違う言葉を贈った。
「貴方が謝る事は何もありませんよ。
私は、貴方の果敢な心と、正規の訓練を受けないながらに強靭だった戦いを評価します。
……田舎 主税さん、私は貴方をスカウトしに来たんです。
まだまだ睨まれる若輩の身、手勢と言うものが欲しくてね」
スーツの人物は自らを「UGN監査部副長」、霧谷雄吾と名乗った。
後に監査部局長へと昇格、更には日本UGN支部長となる男であった。
曰く、主税の事情をある程度知った上で接触を図ったこの男は、組織内での政争と呼べるようなものの為に
現場、後方問わず自らの手勢を揃えたいが為に、今回のものと似たようなスカウトを各地で行っているようで
主税の家庭事情も掴んでおり、今回はその「父の根回し」と無関係に、主税を自分の派閥へと取り込みたいようであった。
全域でないとはいえ、父の根回しが効くUGNの者からのそのような交渉に、父のはかりごとを
疑わないでもなかったが、千載一遇の機会かもしれない、と悩んだ末に霧谷からの交渉を承諾。
それを受けた霧谷は、主税への礼を述べた後、畳み掛けるように
「親子の仲が修復し難い物だと言う事は悲しいことですが、貴方の望み……
『自分と同じ気持ちを味わうような者を少なくする為、より多くの人へ手を伸ばしたい』……
それを果たす為に、貴方の御父上に服従する必要はありません。
ただ、御父上は貴方の帰りを未だにお待ちのようです」
と、何かを示唆するような言葉を掛けた。
主税はその言葉を、確かな不快感や戦慄と共に受け取ったが、暗に意味が有ったと感じたし、自らにとって
その言葉を「前向きに考える」事は意味のある事だと解釈し、霧谷の下からUGNへと参入した後、何を思ってか
父との和解に努め、再会した父へと
「確かに大きな事ではあったが、意地と共に放浪を長く続け過ぎた。
自分一人がそのような反発を続けていても、最終的には心の問題。
心配を掛け、程度の多寡はともかく実害も出してしまっている。
本当に申し訳なかったし、意地を張るのはやめる事とする」
と謝罪。
父は傲慢で支配的ではあったが、それ故に主税の行動を「やはり」と想定内のものであるとした。
息子が自らの与り知らぬところでUGNへと参入していた事には腹を立てたが、息子と霧谷の恭順的な説明に彼らを信用。
むしろ
「外で別派閥とのコネを作り持ち帰って来てくれるとは、さすが良い教育を施した甲斐が有った。
やはり血は争えない俺の息子だ」
と気を良くし、最終的には主税のUGN参入も認可。
こうして主税はUGNへと参入し、父からの支援を受ける環境も入手。
それから数年、霧谷 雄吾派閥の一員として、UGNの「日常を守る」と言う治安維持の本分と
政争へ関わる後方支援にも少なからず関わり、エージェントから副支部長へ、副支部長から支部長へと昇進。
コードウェル博士の復活、ゼノス出現、マスターレイスの跳梁と、状況が混迷を極めている現在も
霧谷の派閥へと所属しており、支部長の職務を続けている。
様々なしがらみを身に纏う事とはなったが、心底に残っているのは
「自分が果たせなかった事への執着」
らしく、シンドローム発症直後の若者には過去の自分を重ね合わせて
つい状況に立ち入り過ぎてしまう、とは主税自身の反省の弁。
《戦闘について》
現場の戦闘においては、主に防御面を担当。
強い重力の発生を得手としており、エグザイルの変異によって強靭化した肉体に
高重力を纏わせ、それらによる堅固さを発揮して敵の攻撃を防ぐ「人型の壁」。
護身術として多少の格闘術(合気道)も学び修めてはいるが、それらはエフェクトの関わらない「人同士の戦い」において
「多少役立つ」程度のものでしかなく、オーヴァードやジャームとの戦闘には力を発揮するものではない。
《家族についての余談》
母親は父の方針に付いていけなくなったため、離婚。
その際、主税は母親と共に暮らそうとしたが、跡取りを失いたくない父の陰謀により
母から親権は奪われ、父の下で暮らす事になる。
幼少期の主税は、その後何度も母と会おうとしたが、専属弁護士からの
「これ以上取り決めを破れば、キミだけじゃなくお母さんにも迷惑が掛かる」
との言葉により、次第に父の目を盗んで母と会う事を止める。
(※母の方にも何らかの働きかけが有ったのか、主税の「会うのを止める」との言葉を
残念がりはしたが、何かを察したようにそれを承諾した)
近年は父との(表向きの)復縁により母と再会する事も出来た。
以後の生活で苦労したのか、主税が思うより老け込んでいたが、多少のぎくしゃくとしたものは有っても
大きな気兼ねをせずに会う事が出来るため、現在も親子仲は良好。
ただし、父が「面白くない顔」をするので、表立って頻繁に会う事は避けている。
《その他》
葛村 神太郎とは情報交換相手。
UGNとR担のそれぞれの情報網から入る「ネタ」をやり取りしている。
ビジネスライクではあるが、個人としても悪い相手だとは思っていない。